• 代表・奥山

ジビエ時評 (6) 「エシカル・ジビエ」 を考える (その2)

北海道札幌市南区の住宅地に出没を繰り返していたヒグマを、8月14日早朝、市から委託を受けたハンターが猟銃で射殺した。


住民たちから「安心した」「もっと早く対応してほしかった」という声があがったいっぽう、ニュースで知った首都圏や関西など主として道外の人から、「麻酔で眠らせて森に帰すべきだった」「捕らえて動物園に移すべきだった」など、翌15日まで300件近い抗議が市に寄せられた。(北海道新聞電子版8月15日)


わたしたちは食べ物を食べて生きている。生きることは食べること。すべての食べ物は「命」である。肉も魚も野菜もコメも。


人が生きるということは、命をいただくこと、殺すことである。



ある日屠畜場に運ばれてきた牛に付き添ってきた10歳くらいの女の子が、牛の腹をさすりながら話しかけている。

「みいちゃん、ごめんね。みいちゃんが肉にならんとお正月が来んて、じいちゃんの言わすけん。みいちゃんば売らんとみんなが暮らせんけん。ごめんね、みいちゃん」。


この様子を見ていた屠畜場の坂本さんは、気が重くなりながら翌日作業場に立つ。「じっとしとけよ、みいちゃん。」と言うと、みいちゃんはちっとも動かず、大きな目に涙を浮かべていた。


後日、おじいちゃんが坂本さんに話した。


「あの肉ば少しもろうてみんなで食べました。孫は泣いて食べませんでしたが、『みいちゃんのおかげでみんなが暮らせるとぞ。食べてやれ。みいちゃんにありがとうと言うて食べてやらんな、みいちゃんがかわいそかろう? 食べてやんなっせ』って言うたら、孫は泣きながら『みいちゃん、いただきます。おいしかぁ、おいしかぁ』て言うて、食べました。


後半は、内田美智子『いのちをいただく』2009 西日本新聞社から、手直しして引用した。       

(2019年9月)

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